下駄で走れば  下駄まで笑う

あざける破傷風

愉快痛快  誰もいやしない

トンビの喪章




蒼穹の王が言っている

蒼穹の王が歌ってる

速度を落とせば彼奴が来る

からたちの風にのるだけさ

翼になってつむじの風にとけて

螺旋の言葉唱えあげれば合戦血戦



彼奴と別れて  華になりたい

あざけるスイカズラ

下駄で走って  血まめになって

それでも走る



彼奴からのがれ  華になりたい

あざけるカラスども

鳥にわかるか  あとすらないの

華になるだけ



蒼穹の王の言うことにゃ

あでやかに散る薔薇の如し

あまり長く約束できない

走れるうちが華だという

椿がみるみる狂い咲いては散って

安全なんてどこにもないと叫ぶよ



鼻緒が切れた  すげる手はない

あざける蜃気楼

命からがら  幼き日より

道化師のとんぼ



速度を落とす  下駄を投棄し

そうだ、もっと早くなる!

もっと身軽に  これも宿業

重きは捨てろ



蒼穹の王は刹那が好き

はやてになって風とひとつ

嵐も大蛇(おろち)も歓喜する

殺されるなら華になりたい

躯はあげる。燃え尽きた後、彼奴に

彼奴の悲劇は私の躯。それ故



生きた私に  追いすがる彼奴

遠くで叫んでいる

帝釈天に  接吻をする

何も聞かずに



生きた私を  かっさばきたい

それが彼奴の願い

軍神が笑い  女神に捧ぐ

裸足の華を