忠臣

明日の君に心酔し

全て捧げ戦った

君とともに戦場《イクサバ》駆け抜けた



国を建てて花が咲く

ともに歌い笑った君は

逝ってしまった



宝物庫の中で 大の字に寝転がり

すがすがしいほど一人 明日を占う

血塗られた戦場で 燦然と輝いた

君の明るい笑顔 胸を焼いてる



君は子供遺してった

僕は彼らについた

愚かでどうしようもない子供達



彼らはいがみあい

風みたく時は過ぎて

国はほどけてった



僕は旅に出たんだ 空の真下ひとり

熱い記憶秘めて 今を生きてる

花畑の中で 大の字に寝転がり

すがすがしいほど一人 春が寄り添う



風と流れ流れ バザールに腰かけた

今の友は弦楽器 遠くのドラム

僕は歌い語る 花売りが足をとめ

鮮やかな紅の空 宵の鳥たち


うんちく

チンギス・ハンに忠臣がいて、主君が先に旅立ったら、という設定で描きました。特にモンゴル舞台にこだわったわけではありません。



主人公の『僕』が旅に出たのは、慕った主の子供を捨てたからではなく、首になったからです。『僕』がバザールで歌うのは軍歌ではなく、「昔、天才がいたんだよ」という、サーガです。



書いた当時、王様キャラばっかり書いていたので、読んだ人に「普通の人書いたね」と言われました。ちょっと複雑です。 



※アメブロからのほぼ転載です。